法人が節税対策をする際の注意点とは?代表的な節税対策も紹介

節税対策を行うことは、法人が事業を継続するうえで重要な経営戦略の一部です。
しかし、不適切な方法を取ると、かえって会社の経営状態を悪化させるリスクがあります。
今回は、多くの法人が行っている代表的な節税対策や、注意点について解説します。

節税対策の2つの種類

法人が行う節税対策には、税金そのものを減らす方法と、税金を将来に繰り延べる方法の2つがあります。
それぞれの具体的な内容は、以下の通りです。

税金そのものを減らす方法

法人が税金そのものを減らす方法として代表的なのは、税額控除の特例を活用することです。
たとえば、中小企業が生産性を高めるための最新設備を取得した場合や、従業員の給与を引き上げた場合に、法人税額から一定の割合の金額を直接差し引くことができる制度などが用意されています。

税金を将来に繰り延べる方法

税金の繰り延べとは、今期に支払うべき税金を一時的に抑え、支払いを将来の事業年度へ先送りすることです。
実務で行われている多くの節税対策は、税金の繰り延べに該当します。
繰り延べによる節税対策は、大きな赤字が発生するタイミングがあらかじめ予期されている場合に有効な手段となります。

法人の代表的な節税対策

法人が日々の実務において導入しやすい節税対策には、次のようなものが挙げられます。

経営セーフティ共済への加入

中小企業基盤整備機構が運営する経営セーフティ共済は、税金を繰り延べることで節税効果を得られる制度です。
具体的には、毎月5,000円から20万円までの範囲で自由に掛け金を設定し、年間の最大枠である240万円の全額を法人の経費として処理することができます。
40ヶ月以上掛け金を納めていれば、自己都合で解約した場合であっても掛け金の全額がそのまま会社に払い戻されます。
利益が多かった事業年度に掛け金を拠出して税金を抑え、将来業績が悪化したときや役員の退職金を支給するタイミングに合わせて解約して相殺することで、資金を有効活用することが可能です。

未払費用の早期経費計上

未払費用の早期経費計上とは、決算日の時点でサービスの提供を受け終えており、支払う義務が確定している債務を今期の経費に組み込むことをいいます。
たとえば、当月に使用したオフィスの電気代や、従業員の給与のうち決算日までに稼働した日数分の数字などは、決算日以降に実際の引き落としが来る場合であっても、正確な未払仕訳を起こすことで当期の経費に算入できます。
また、翌1年分の家賃や火災保険料などの料金を決算日までに一括で前払いしておくことで、全額を当期の経費として前倒しで処理できる短期前払費用の特例もあります。

社宅制度による経費化

役員や従業員が個人で契約している賃貸マンションなどの住居を、会社の社宅契約へと切り替えることで、節税効果が得られるケースがあります。
会社が貸主と直接賃貸契約を結んで家賃の全額を支払い、役員や従業員からは、法律の算定基準データに基づいて計算された一定の賃貸料相当額を給与天引きの形で徴収します。
これにより、会社が負担した差額分の家賃は法人の経費となり、利益の大幅な圧縮が可能です。
さらに、給与を高く支払う代わりに社宅を支給する形をとれば、役員や従業員の個人の所得税や住民税、および会社と個人が折半して負担する社会保険料を引き下げることにもつながります。

法人が節税対策をする際の注意点

法人が節税対策を取り入れる際には、以下の点に注意してください。

脱税とみなされるような行為

売上データを意図的に翌期へ先送りしたり、実際には発生していない架空の領収書を捏造する行為は、節税ではなく脱税に当たります。
脱税とみなされた場合、本来納めるべき税金に加えて35%~50%の重加算税が課されるだけでなく、悪質な場合は刑事罰の対象となるため、注意してください。
また、不自然な取引についても、税務署の規定によって、一方的に取引自体を無効として課税する実態があります。
節税対策は、客観的に説明できるような適切な範囲で行うことが重要です。

無駄な支出による資金繰り悪化

節税のために決算直前に必要性の低い備品を購入すると、かえって資金繰りの悪化につながる可能性があります。
税金を低く抑えるために過度な支出をしていては、結果的に損失となってしまいます。
備品の購入や投資を行う際には、必要性と節税効果のバランスを見極めることが欠かせません。

まとめ

今回は、法人の代表的な節税対策や、注意点などについて解説しました。
法人が節税対策を行う際には、脱税が疑われるような方法を取らないことや、経費算入のために過剰な支出をしないことなどに注意しましょう。
自社の節税対策について不安を感じられている場合には、税理士に相談することを検討してください。