個人事業主にとって、煩雑な記帳業務は大きな負担となります。
しかし、記帳代行を利用することで、その負担を軽減しつつ、さまざまなメリットを享受することができます。
本記事では、個人事業主が記帳代行を利用するメリットと、依頼にかかる費用について解説していきます。
記帳代行とは
記帳代行とは、領収書や請求書といった取引の記録に基づき、帳簿を作成する業務を外部の専門家に委託することです。
個人事業主は、記帳が義務付けられていますが、簿記の知識や複雑な税法の理解が必要となる他、作成には時間や手間もかかります。
しかし、記帳代行を依頼することで、手間を削減し、作業を効率化することができます。
個人事業主が記帳代行を利用するメリット
個人事業主が記帳代行を利用するメリットとして、以下の3つがあげられます。
- 本業に集中しやすくなる
- 記帳ミスを防止できる
- デジタル化を進めやすい
それぞれのメリットについて確認していきましょう。
メリット①本業に集中しやすくなる
個人事業主は、事業の利益に直結する営業活動やサービスの提供といった本業と、経理・税務といった管理業務を1人で担うケースが大半です。
専門家に記帳代行を依頼することで、経理といったノンコア業務から解放され、時間とエネルギーを顧客獲得や売上向上に直結する本業に集中させることができます。
これは、事業の成長速度を加速させる上で、大きなメリットとなります。
メリット②記帳ミスを防止できる
個人事業主は簿記の専門知識がないまま記帳を行うことが多く、勘定科目の判断ミスや、経費計上の誤りといった記帳ミスが発生しがちです。
特に青色申告を行う場合、複雑な帳簿作成が必要となり、ミスの発生リスクも高まります。
もし、申告内容に誤りがあった場合、青色申告の承認が取消されてしまう可能性があります。
記帳代行を依頼することで、これらの税務上のリスクを未然に防ぎ、正確で信頼性の高い帳簿を作成しやすくなります。
メリット③デジタル化を進めやすい
専門の税理士に記帳代行を依頼することで、事業主自身が複雑な複式簿記やクラウド会計の運用スキルを習得する手間なく、デジタル化をすすめることができます。
取引データが正確にデジタル化・集約されるため、リアルタイムで経営状況を可視化することが可能になります。
これにより、経営判断を行いやすくなるなどのメリットを期待することができます。
記帳代行はどこに依頼できる?
記帳代行業務の依頼先は、提供されるサービスの範囲や料金体系が異なるため、ご自身のニーズに合わせて選択することが重要です。
主な依頼先として、税理士事務所と記帳代行専門業者の2つがあります。
税理士事務所
税理士事務所に記帳代行を依頼するメリットは、税務申告まで一貫して任せることが可能である点にあります。
契約内容によりますが、単純な記帳代行だけでなく、税理士にしかできないさまざまなサポートを受けることができます。
税務調査の際にも代理人として立ち会ってもらえることがあるため、税務上のリスクを抑えたい個人事業主に推奨されます。
記帳代行業者
記帳代行を専門に行う業者に依頼する場合、税理士事務所よりも比較的安価に、かつ迅速に記帳業務のみを依頼できる場合があります。
記帳業務の量が膨大である場合や、既に顧問税理士がいるものの記帳業務だけを切り離して委託したい場合に適しています。
ただし、税務相談や税務署への申告代理業務は行えないため、申告は自分で行うか、別途税理士に依頼する必要があります。
記帳代行にかかる費用は?
記帳代行にかかる費用は、主に依頼する取引量や依頼する業務の範囲によって変動します。
税理士に依頼する場合、そして記帳代行業者に依頼する場合の費用をみていきましょう。
税理士に依頼する場合
税理士に記帳代行を依頼する場合、顧問契約を結んだ上で依頼するケースが一般的です。
この場合、費用は月額の顧問料や決算申告料などがセットになっていることが多く、特に記帳代行料金は、月間の仕訳数に応じて段階的に設定されるのが特徴です。
たとえば、月50件程度の仕訳であれば月額1万円前後からとなりますが、仕訳数が増えるほど料金も上昇します。
専門業者と比較すると、税務相談やリスク管理の費用が含まれるため若干高い傾向にありますが、決算申告まで一括で依頼することで、トータルの費用対効果は高くなります。
記帳代行業者に依頼する場合
記帳代行専門業者に依頼する場合、費用は仕訳数によって決まるケースがほとんどです。
税理士事務所よりも月額料金は安価に設定されていることがありますが、税務相談や決算申告は含まれない場合が多くあります。
その他の税務サービスが必要な場合には、最終的なコストが高くなる可能性があります。
業者によっては、初期設定費用や年間契約料が別途かかる場合があるため、見積もりを比較する際は、含まれるサービス内容をよく確認することが重要です。
まとめ
個人事業主にとって記帳代行の利用は、本業への集中、記帳ミスの防止、人件費削減といったメリットがあり、事業の効率化に有効な手段となります。
なお、記帳代行にかかる費用は仕訳数に応じて変動するため、自身の取引量を確認し、費用対効果を比較検討することが重要です。
記帳代行をお考えの際は、専門の税理士までご相談ください。
