確定申告や法人税申告を終えた後、税務署から突然連絡があるのが税務調査です。
この調査は、申告内容が適正であるかを確認するために行われますが、経営者にとっては大きな負担と不安を伴います。
この記事では、税務調査とは何か、また調査時期や流れについて解説いたします。
税務調査とは?
税務調査とは、納税者が提出した確定申告書や法人税申告書などの税務書類の内容が、適正であるかどうかを、税務署などの国税当局が確認するために行う調査です。
この調査は、納税者に申告漏れや誤りがないかを確認し、適正な納税を促すことを目的としています。
税務調査は、納税者の任意による協力のもとで行われる任意調査が一般的であり、事前に納税者または税理士に対して日時などが通知されます。
調査の結果、申告内容に誤りや不正が見つかった場合、不足分の税金(追徴課税)に加えて、延滞税や過少申告加算税といったペナルティが課されます。
税務調査の種類
税務調査は、その目的や方法によっていくつかの種類に分けられ、それぞれ手続きや厳格さが異なります。
まず、実地調査です。
これは、税務署の調査官が納税者の事務所や自宅を訪問し、帳簿や関係書類を直接確認する最も一般的な本格的な調査です。
調査は通常1日から数日間かけて行われ、経営者や経理担当者への質問を通じて、取引の実態や計上の妥当性が検証されます。
次に、簡易な連絡です。
これは、税務署からの電話や文書による問い合わせで、申告内容の軽微な疑問点や形式的な不備を解消するために行われます。
実地調査ほど大掛かりではないものの、回答内容によっては本格的な調査に発展する可能性があります。
さらに、国税局査察部が行う強制調査もあります。
これは、悪質な脱税が疑われる場合に、裁判所の令状に基づいて強制的に行われるもので、非常に厳格な手続きです。
この査察が行われるのはごく一部の重大な不正事案に限られます。
税務調査の調査時期
税務調査は、特定の時期に集中して行われる傾向があります。
法人に対する税務調査は、一般的に決算期を終えて数カ月後の、7月から11月頃に集中する傾向があります。
これは、多くの企業が3月を決算期としているため、申告内容が確定した後に調査を行うためです。
また、税務署の人事異動が7月に行われることも、この時期に調査が活発化する要因の1つとされています。
個人事業主に対する調査は、確定申告が終わった後の秋から年末にかけて行われることが多いです。
ただし、不正が疑われる場合や、多額の還付請求があった場合などは、時期に関わらず臨時の調査が行われる可能性があります。
税務調査の流れ
税務調査は、一般的に以下の流れで進められ、納税者は各段階で適切な対応が求められます。
まず、税務署から納税者または税理士に対して事前の通知があります。
日時や調査の対象となる税目などが伝えられ、日程調整が行われます。
次に、実地調査の実施です。
調査官が事業所などを訪問し、帳簿や領収書、請求書などの関係書類を確認します。
調査は通常1日から数日間かかりますが、複雑な事案では数週間を要することもあります。
調査後、調査官から指摘事項の説明があり、納税者はその指摘に対して反論や説明を行います。
最後に、申告内容に誤りがあった場合は、修正申告または更正の手続きを行い、追徴課税や延滞税などを支払います。
税務調査で必要になる書類
税務調査の際に必要になる書類は多岐にわたり、これらを迅速に提示できるかが調査のスムーズさに影響します。
総勘定元帳、仕訳帳などの会計書類は、事業の取引記録を証明するために必要となります。
領収書や請求書、契約書も、取引の実態を証明するための大切な資料です。
また、通帳の写しや出勤簿、給与台帳なども確認されます。
さらに、会社の組織図や株主名簿、議事録なども提出を求められる場合があります。
これらの書類は、日頃から整理して保管しておくことが重要であり、調査の対象となった期間だけでなく、過去7年間の書類を保存しておくことが推奨されます。
税務調査のリスクや手間を減らす方法
税務調査のリスクや手間を最小限に抑えるためには、日頃からの適切な準備と専門家の活用が重要です。
まず、正確な記帳と申告を行うことです。
会計処理や申告書作成に誤りがないよう、細心の注意を払います。
次に、顧問税理士と契約することです。
税理士は、税務調査の事前準備から、調査当日の立ち会い、そして税務署との交渉までを一貫して代行してくれるため、納税者の精神的・時間的な負担を大幅に軽減できます。
また、日頃から証拠書類を整理し保管することも重要です。
証拠書類を迅速に提示できる体制を整えることで、調査の期間を短縮できます。
まとめ
税務調査とは、税務署が申告内容の適正性を確認する調査であり、納税者にとって非常に重要です。
調査には実地調査や簡易な接触といった種類があり、主に決算期後に行われます。
調査の流れは、事前通知から始まり、実地調査、指摘事項の説明へと進みます。
リスクを減らすためには、日頃から正確な記帳を行い、顧問税理士と契約することが最も有効な手段です。
税務調査でお困りの際は、ぜひ税理士にご相談ください。