税務調査を税理士に依頼するメリットとは?

税務署による調査は、適正な申告を行っていても突然訪れる可能性があります。
必要な書類の準備や対応の流れを把握していないと、調査が長期化することもあります。
この記事では、税務調査の基礎知識から、税理士の活用ポイントなどを解説いたします。

税務調査とは?

税務調査とは、国税庁または税務署が、法人や個人事業主の税務申告内容が正確かどうかを確認するために行う調査です。
納税者が適正な税務処理を行っているかを確認し、申告漏れや過少申告などがあれば修正を求めることを目的としています。
調査は任意調査と強制調査に大別され、通常は任意調査として事前通知のうえ実施されます。
調査官が帳簿や証憑書類、取引内容を確認することで、申告の妥当性を判断します。
税務調査は決して特殊な事案に限られるものではなく、定期的または不定期に多くの事業者に対して実施される可能性があります。

税務調査の流れ

税務調査の流れは、一般的に「事前通知」、「調査実施」、「調査結果」の3段階に分かれます。

まず、調査対象となった場合、税務署から「事前通知」が送られてきます。
通知では調査日や調査対象期間、必要書類などが案内されます。
ただし、無予告で来訪される「無予告調査」が行われることもあります。

次に「調査実施」では、税務署職員が企業を訪れ、帳簿や領収書、契約書などを確認します。
調査は1~3日間ほどかけて行われ、取引の実態や申告との整合性が重点的に確認されます。
担当者への聞き取りが行われる場合もあります。

最後に「調査結果」として、問題点がなければ申告是認となり、問題点があれば修正申告や更正処分が必要になることがあります。
指摘内容に納得できない場合は異議申立てや審査請求が可能です。
調査の結果次第では追徴課税が課されることもあるため、慎重な対応が求められます。

税務調査に必要な書類

税務調査では、調査官から提示を求められる書類を準備しておく必要があります。
主な書類は以下の通りです。

  • 総勘定元帳および仕訳帳
  • 領収書、請求書、納品書などの証憑類
  • 売上台帳、現金出納帳
  • 契約書、見積書、注文書
  • 預金通帳や振込明細書
  • 給与台帳および源泉徴収簿
  • 税務申告書および決算書

これらの書類は、調査対象期間に該当するものを過去数年分用意するのが一般的です。
また、税務署が特に注視するのは「実際の取引と帳簿の整合性」であるため、記帳内容が裏付けられる証拠書類の用意が重要です。

税務調査を税理士に依頼するメリット

税務調査において税理士を活用する最大のメリットは、調査官とのやり取りを専門家に任せられる点にあります。
税理士は税法の知識と実務経験をもとに、調査の論点や指摘事項に対して適切に対応します。

また、税理士が立ち会うことで、納税者側の主張が正しく伝わりやすくなり、税務調査官の解釈の誤った追及や指摘を防ぐ抑止力にもなります。
調査対象になった場合でも、適切な対応により追徴課税やペナルティのリスクを軽減できる可能性があります。

加えて、日頃から顧問税理士と連携していれば、調査に必要な書類の準備もスムーズに進みます。
安心して本業に集中するためにも、税理士のサポートは大きな助けになります。

税務調査に強い税理士を選ぶ時のポイント

税務調査に強い税理士を選ぶ際には、調査対応の実績と経験を重視することが重要です。
特に、法人税や消費税など事業者向けの税務調査に多く対応してきた税理士や国税庁勤務のキャリアを持つ税理士は、実務上の対応ノウハウを備えています。
また、過去の調査立会い実績が豊富であるか、調査後の指摘内容を軽減または無効にした事例があるかを確認することも有効です。
ホームページや面談での説明から確認できる場合があります。

さらに、説明能力や交渉力も重要な要素です。調査官との折衝には説得力ある説明が求められるため、納税者の立場に立って冷静に対応できる税理士が理想です。
相性やコミュニケーションのしやすさも選定基準に含めるとよいでしょう。

税務調査に関する税理士報酬の相場

税務調査の対応にかかる税理士の報酬は、依頼の内容や対応期間により異なりますが、一般的な相場は以下のとおりです。
まず、税務調査の立会費用は、1日あたり5万円〜10万円程度が目安とされています。
調査期間が複数日に及ぶ場合、その分日数が加算されます。

また、調査対応にかかる事前準備費や文書作成費、修正申告の対応費用などが別途発生することもあります。
これらを含めた総額では、10万円〜30万円程度になるケースが多いです。
顧問契約を結んでいる場合は、調査対応が顧問契約内に含まれることもありますが、別料金となるケースもあるため、事前に確認しておくことが大切です。

まとめ

税務調査は、すべての事業者が対象となる可能性のある重要な手続きです。
日常的な帳簿管理と証憑整理が基本となり、調査時の対応を円滑に進める鍵となります。
専門知識が求められる場面では、税理士のサポートが有効であり、交渉力や経験のある税理士を選ぶことが安心につながります。