帳簿作成時における注意点と保存期間

ビジネスを運営する上で避けて通れない実務の1つが帳簿作成です。
本記事では、帳簿作成の意義から、帳簿作成の注意点、そして法人・個人事業主それぞれで異なる帳簿の保存期間について解説します。

帳簿作成の意義とは

帳簿作成は、日々の取引内容を正確に記録し、会社の財産状態や経営成績を明らかにするために行われます。
単に税金を計算するための作業だと思われがちですが、本来の目的は健全な経営管理にあります。
帳簿を正しくつけることで、どこに無駄な経費がかかっているのか、利益がどの程度出ているのかをリアルタイムで把握できるようになります。
また、金融機関から融資を受ける際や、取引先から信頼を得るための証明書類としても、帳簿は極めて重要な役割を果たします。
法律で定められた義務であることはもちろん、自社の経営の指針となる重要な作業といえます。

帳簿作成における注意点

帳簿は、ただ記録すればよいわけではありません。
主に以下の3つの注意点があります。

注意点①適切な勘定科目を使う必要がある

取引の内容を記録する際は、その支出や収入がどの分類に属するかを示す勘定科目を適切に選択しなければなりません。
勘定科目の選択を誤ると、正しい利益計算ができなくなるだけでなく、税務調査で指摘を受ける原因となります。
1度決めた勘定科目の運用ルールは、年度の途中でみだりに変更せず、継続して使用することが一貫性を保つコツです。

注意点②記入を溜め込むとミスにつながる恐れがある

帳簿作成において避けたいのは、領収書や請求書の整理を後回しにして、一気に記入しようとすることです。
時間が経過すると、領収書に書かれていない取引の背景や細かい内容を忘れてしまい、記入ミスや重複、漏れが発生しやすくなります。
また、不備に気づくのが遅れることで、本来受けられるはずの控除を活用できないこともあります。
毎日、あるいは週に1回といった頻度で、こまめに記録する習慣をつけることが、正確な帳簿を維持するための近道となります。

注意点③保存期間を守らないとペナルティのリスクがある

帳簿や関連する領収書、請求書などは、作成して終わりではなく、法律で定められた期間、適切に保管しておく義務があります。
もし税務調査が入った際、必要な帳簿が保存されていないと、経費として認められずに追加の税金を課されたり、青色申告の承認が取り消されたりする可能性があります。
青色申告の取り消しは、税制上の大きな優遇措置を失うことを意味し、経営に多大な損失を及ぼしかねません。
作成段階から、後で誰が見ても内容がわかる状態で整理し、安全な場所に保管する体制を整えておく必要があります。

帳簿の保存期間はどのくらい?

帳簿の保存期間は、法人と個人事業主でルールが異なります。
それぞれの期間は次の通りです。

法人の場合

法人の場合、帳簿および書類の保存期間は原則として7年間です。
これには仕訳帳や総勘定元帳だけでなく、領収書、預金通帳、棚卸表なども含まれます。
ただし、赤字が発生した事業年度については、その欠損金を翌年以降に繰り越して控除するために、最長で10年間の保存が求められます。
法人の運営においては、基本的には10年間保存しておけば、あらゆる税務上のリスクに対応できると考えておくと安心です。

個人事業主の場合

個人事業主の場合、青色申告か白色申告かによって保存期間が分かれます。
青色申告者の場合、帳簿や決算書類、現金預金取引等に関係する書類は7年間の保存が必要です。
一方で、領収書や請求書などの証憑書類については5年間となっています。
白色申告者の場合は、帳簿の保存期間は7年間、領収書などの書類は5年間です。
期間の起算点は、確定申告の期限の翌日となります。
煩雑さを避けるためには、法人同様にすべての書類を一括で7年間保管するルールにしておくことをおすすめします。

まとめ

帳簿作成は、法令遵守のためだけではなく、企業の健康状態を把握するために欠かせないものです。
適切な勘定科目の使用や、こまめな記録、そして定められた保存期間の厳守といった基本を疎かにすると、思わぬペナルティを受けかねません。
法人なら最長10年、個人事業主なら7年という期間を意識し、適切に管理できる体制を作りましょう。
もし日々の記帳作業が負担に感じたり、ルールの判断に迷ったりする場合は、ぜひ1度、専門の税理士までご相談ください。